冬馬の背後に黒いオーラが見え隠れするのは気のせいか?
やっぱこいつロゼと近いな……
ラグフォードは再び確信を得る。
質問を投げ掛けられたローゼンティスは僅かに頬を赤くすると台本を閉じ静かに言葉を紡ぐ。
「僕が好きなのは、天音です」
ローゼンティスの様子にラグフォードは驚く。
マジあり得ねぇ!!
あのロゼが……
あのロゼが………
赤くなってる!?
なんでだ?明日は……今日かもしれねぇが……間違いなく槍が降る。
いや、血の雨が……。ってこれは意味が違う!!
くそ!俺まで混乱してきちまった。
「その方のどのような所が好きですか?」
「……優しい所ですね」
天音は優し過ぎる。
それが彼女の良い所であり、悪い所。
少しの間を置き答えたローゼンティスだが………
「君は想い人の好きな所すらすぐに答えられないのかい?」
先ほどまで一人で喋っていた筈の芙蓉が会話に参加する。
どうやら間を空けたのが気に入らなかったようだ。
「私だったらいくつでも即答出来るよ?なんならレクチャーしてあげようか?」
にっこりとローゼンティスに芙蓉は微笑む。
「結構です」
それに対し間髪入れずキッパリとローゼンティスは拒否した。
―翡翠と濃紫(のうし)が交差する。
バチバチと火花が散りそうな程に睨み合う美形二人。
一触即発の重苦しい雰囲気は最早花見を楽しむものではない。
「おい。お前らケンカしに来たのかよ?花見っつったら和やかムードだろ。まぁ、このメンバーじゃ和やかは無理だけどな」
ケンカの仲裁をしているはずのラグフォードだが、余計な一言まで付け加える。
「と、いうわけで、次は俺の番だな」
にっと笑い親指で自身を指し、台本をテーブルの端に寄せる。
この時点で台本を開いているのは冬馬のみ。
最早、台本の必要性は無いだろう。
そんなラグフォードに毒気を抜かれたのか睨み合いをしていた二人に先ほどまでの重苦しい雰囲気はなくなった。
「俺の好きなやつはシェリルだ。幼なじみなんだけどよ。あいつ気が強いんだよなぁー。この間なんて……」
「失礼、ラグフォード様。ノロケ話はそこらへんでよろしいでしょうか?というよりもノロケ話は芙蓉様だけで沢山です」
他の方のノロケまで聞く余裕はありません。
ふぅ…とため息を吐くと話始めたラグフォードの言葉を遮る。
「……俺っていっつも酷い事言われるんだよなぁー………」
「仕方ないでしょう?ラグの役割ですからね」