桜の巨木で語り合おう

主である芙蓉に冬馬は鳶色の瞳を伏せ申し訳なさそうに頭を下げる。

「雪原るい様から我々四人の会話を聞きたいとリクエストを賜りました。お題もございます。まあ、こちらは作者が勝手に作ったようですが」

どうぞ、と冬馬は台本を芙蓉達に渡す。

「桜を囲んで雑談?…それよりもこの通りに受け答えするのかい?」
「勿論です」

質問する芙蓉に平然と言ってのけ、

「……好きな人がすでに書いてありますが……」
「答えていただきます」

呟くローゼンティスに応答する。

「マジかよ……」
「マジです」

そして、脱力するラグフォードに淡々と返す冬馬に薄ら寒さを覚える。

「では、質問です」
「いきなりか!?」
「好きな人は誰ですか?」
「……しかも無視かよ。敬語キャラだけあって誰かとソックリだな」

ちくしょう。とぼやくラグフォードの言葉に反応したのは隣に座っているローゼンティスだった。

「ラグ?それは僕の事ですか?」
「いや?別に誰とは言ってねぇけど?」
「誰とは……ねぇ?」
「つーか…お前恐ぇーよ」

うっすら笑うローゼンティスにラグフォードは引きつった表情を向ける。

「そこのお二方。仲間割れなさらないでください。それよりも私の質問にさっさと答えていただけませんか?」

脱線しそうな会話を冬馬のいささか棘を含んだ声が引き戻す。

「……やっぱロゼと似てる」

ボソリと呟くラグフォードをローゼンティスは軽く睨む。
それを見ていた冬馬はこれみよがしにため息吐く。

「埒があきません。芙蓉様から答えてください」
「私から?もちろん、構わないよ。台本邪魔だね」

にっこりと微笑み台本を放り投げる。

「私が好きなのは柚葉だよ。彼女は、外見だけじゃなくて性格も可愛いんだ。ちょっと天然ボケが入ってるけどそこがまた愛らしくて…」

嬉しそうに喋り始める芙蓉にローゼンティス達は固まる。

「僕もあんな風に言うべきですか……?」

顔を引きつらせ、ローゼンティスは台本をパラパラとめくり読んでいく。

「いや……あの芙蓉って奴は台本捨てたぞ?意味なくねぇ?」
「芙蓉様はいつもあんな感じです。柚葉様にしか興味ありませんからね」

心なしか芙蓉を見つめる冬馬の目が嬉しそうな光を宿す。

「ああなった芙蓉様は止まりませんので、次にいきましょう。ローゼンティス様、答えてください」

もしかして、分かってて芙蓉に話をふったのではないだろうか……。



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