古い古い歴史が見える満開の桜の巨木。
はらり、はらり桜が舞い踊る。
巨木の下に丸いテーブルを囲み座する四人の男性の姿がある。
テーブルには良い香りが漂う日本茶の注がれた湯飲みと皿に盛り付けられた三色団子が置かれている。
「……僕達は何故ここにいるんでしょう?しかも、見ず知らずの人達と」
首を傾げるローゼンティスにラグフォードは気にした様子もなく正面に座る人物へと話掛ける。
「よう、俺はラグフォード。こっちはローゼンティス。あんたは?」
「……芙蓉だよ。彼は冬馬」
紹介された冬馬はぺこりとお辞儀する。
「しっかし、あんたえらい美人だな。男…であってるよな?」
「……私が男以外に見えるかい?見えるとしたら君の目は腐ってるね」
あからさまに不機嫌な芙蓉は向かいの席に座るラグフォードを睨むと今度はローゼンティスへと視線を向ける。
「私が女性に見えるならそちらの彼も女性に見えるかい?」
「あー。確かにロゼは女寄りの美貌だけどよ……それは線が細いっつーだけで、男として綺麗って言われるタイプだしなぁ〜。その点、あんたは女に見えるし、よく間違われるんじゃねえ?」
「………」
「お?図星か?案外好きなやつにも勘違いされてるんじゃねぇーの?」
ニヤリと唇の端を持ち上げ冗談混じりに言ったラグフォードだが……
「……………」
ふいっとそっぽを向き無言になった芙蓉を見て深海を思わせる青の瞳を見開く。
「おいおい…冗談のつもりだったんだけどなぁ……」
ポリポリとこめかみを掻き目を泳がせる。
場に流れる重苦しい雰囲気を破ったのはローゼンティスだった。
「全く。思った事をそのまま口にするからこういう事になるんですよ?馬鹿ラグ」
「あー。その……悪かった」
苦笑いしつつ詫びるラグフォードをちらりと一瞥し、芙蓉は視線を逸らす。
「お話も一段落ついたようなので本題に入ります」
それまで黙って成り行きを見ていた冬馬が口を開いた。
何故かその手には台本が握られている。
「最近、お花見の季節という事で、今回は物語の枠をひょいっと乗り越えて語り合いの場を設けさせていただきました。現在この場にいらっしゃるのは、麗しき血の一族のローゼンティス様並びにラグフォード様。そして、Violetの芙蓉様と私、草壁冬馬です。僭越ながら本日は私、冬馬が司会を務めさせていただきます」
「ん?花見?何の事だい?」
「芙蓉様、申し訳ありません。お伝えし忘れておりました」