「アントワネットちゃんは血統書付きの由緒正しい子なのよ?何の見返りもなく善意でだなんて、聖人君子じゃあるまいし……」
「俺はお前ら人間とは違うんだよ」
女性の言葉を遮り、ラグフォードは子犬を女性に渡し、その場を後にした。
そう、ヴァンパイアである彼にとって、人間が執着する物にたいした興味はない……。
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「なるほど。人助けならぬ子犬助けですか。それは、いい事ですね」
事の顛末を聞き終え、にっこりとローゼンティスは微笑むと、
「で?」
続きを促す。
「ん?」
意味の分からないラグフォードは首を傾げた。
「ん?じゃ、ありませんよ。僕が頼んだ物はどうしました?」
「あ!………悪ぃ………その……なんつーか………」
ローゼンティスに言われた事で、本来の目的を思い出し、バツの悪そうな表情になった。
「忘れていた訳ですね」
ローゼンティスはため息をつき呆れる。
「忘れてた訳じゃ……」
「買ってこなかったんでしょう?」
「あー。その……なんだ……」
「今すぐ買ってきなさい」
再び家を追い出された………。
「俺、いい事したはずだよな?この扱いはねぇだろー!?」
ラグフォードの叫びはローゼンティスに届く事はなかった。
fin.